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特定事業所加算2026.10.27約9分で読めます

なぜ特定事業所加算を算定するべきなのか

特定事業所加算
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介護加算研究所® 編集部(監修:佐々木 実)株式会社KKLABO 代表取締役/全国1,000事業所以上を支援

特定事業所加算の取得を勧める情報の多くは「売上が上がるから」という話で終わっています。ですが、1,000以上の事業所を支援してきて実感しているのは、加算の本当の価値は別のところにあるということです。要件をきちんと実施すると、職員の質が上がっていきます。

「売上が上がるから」だけで、いいのでしょうか

なぜ特定事業所加算を算定するべきだと思いますか。

最近は、特定事業所加算の取得を支援する会社もようやく増えてきました。ただ、そうした会社のホームページや資料を見ると、書いてあるのは「売上が上がる」「利益が増える」といった話がほとんどです。

確かに、加算を取れば売上は上がります。それ自体は間違いではありません。ですが、私は本質はそこではないと考えています。

1,000以上の事業所を支援して、実感したこと

これまで1,000以上の事業所の加算取得と運用を支援してきました。そのなかで実感したのは、特定事業所加算の要件を確実に実施していくと、職員の質が上がってくるということです。

考えてみれば当然のことかもしれません。特定事業所加算は、そもそも質の高いサービスを提供している事業所を、加算で評価する仕組みです。

つまり、加算の要件には「質の高い事業所とは、何をしている事業所か」という答えが、すでに書かれているのです。

ポイント加算の要件は、書類をそろえるためのものではなく、質の高いサービスをつくるための手順です。きちんと実施すれば、売上はその結果としてついてきます。

例えば、個別研修計画

体制要件のひとつに、職員ごとの研修計画があります。目標を決め、計画を立て、スケジュールを決めて、実施する。

一般の会社であれば、人を育てるときは本来このように進めます。ところが介護業界では、研修そのものがあまり行われていないのが実態です。法定研修を最低限こなすだけ、という事業所も少なくありません。

ヘルパーは一人ひとり、経験も得意なことも苦手なことも違います。その人に合った研修を実施すれば、スキルは確実に上がります。スキルが上がれば、サービスの質が上がります。

本当に意味があるのは「面談」

もうひとつ大切なのが、目標を決める過程です。目標を決めるには、サービス提供責任者や管理者がヘルパーと面談をすることになります。

  • いま、どんな利用者の支援で困っているか
  • これから、どんなことができるようになりたいか
  • 働き方や体調に、不安はないか

こうした話を、一対一で聞く機会がそもそもない事業所は多いはずです。研修計画をつくるための面談が、ヘルパーの困りごとに気づき、成長の方向を一緒に決める場になります。ここに意味があります。

指示と報告も、同じです

サービス提供責任者からヘルパーへの指示と、サービス提供後の報告。これも一般的な言葉にすれば「報告・連絡・相談」、いわゆるホウレンソウです。

訪問介護は直行直帰が当たり前の働き方です。事業所で顔を合わせる機会が少ないからこそ、利用者の様子の変化や注意点を、指示と報告で確実にやりとりする必要があります。

  • 前回の訪問で、利用者の体調に変化はなかったか
  • 今日の訪問で、特に気をつけることは何か
  • 気になったことを、誰に、どう伝えればいいか

これが毎回きちんと回っている事業所は、事故やトラブルが起きにくく、ヘルパーも一人で抱え込まずに済みます。

分かっていても、時間がない

ここまで読んで、「そんなことは分かっている」と思われた方も多いと思います。問題は、やる時間がないことです。

サービス提供責任者は、自分自身が現場に出ていることがほとんどです。訪問の合間に計画書をつくり、シフトを組み、利用者やケアマネジャーとの連絡をこなしている。ヘルパーと面談する時間すら取れない、というのが多くの事業所の現実です。

よくある状態研修計画は書類としては存在するけれど、面談はしていない。指示・報告は、運営指導の前にまとめて記録を整える。これでは職員の質は上がりませんし、運営指導で指摘や返還を受けるリスクも残ります。

だから、外注と相性がいい

これは私だけの考えではありません。処遇改善加算の職場環境等要件には、生産性向上の取組として「業務内容の明確化と役割分担を行い、介護職員がケアに集中できる環境を整備」することが挙げられています。そこでは、間接業務を「いわゆる介護助手等の活用や外注等で担う」と、外注がはっきり書かれています。

また、厚生労働省の「生産性向上ガイドライン」でも、訪問介護の事例として、サービス提供責任者の業務を「本来行うべき役割」とそれ以外に分け、必要な役割以外はほかの人に任せて時間をつくる取組が紹介されています。

専門職にしかできない仕事に、専門職の時間を使う。国が示している方向も、同じです。

注意通知で例に挙げられているのは、食事の準備や清掃などの間接業務です。事務の外注を処遇改善加算の職場環境等要件の取組として計画書に書く場合は、事前に指定権者(自治体)へ確認してください。

では、訪問介護では何を任せられるのか。面談やヘルパーへの指示そのものは、サービス提供責任者にしかできません。一方で、その周りにある業務の多くは、サービス提供責任者でなくてもできます。

  • 研修計画や面談のスケジュール管理と、実施漏れの確認
  • 研修・会議の資料の準備と、記録の整理
  • 指示・報告の記録が毎回そろっているかの点検
  • 要件ごとの書類の整備と、運営指導に向けた月ごとのチェック

こうした業務を外部に任せると、サービス提供責任者は、本来やるべき「ヘルパーと向き合う時間」をつくれるようになります。加算の要件を回すための事務を減らし、要件の中身である面談や指導に時間を使う。これが、加算を職員の質の向上につなげるいちばん現実的な方法です。

ポイント外注で減らすのは「事務」であって、「育成」ではありません。役割を分けることで、要件を書類だけで終わらせず、中身まで実施できるようになります。

よくある質問

小規模な事業所でも、算定するべきですか?

はい。小規模な事業所ほど、一人のヘルパーの質がサービス全体に与える影響は大きくなります。区分によって求められる体制は異なるので、まずは自分の事業所で満たせる区分を確認してください。

加算を取ると利用者負担が増えるため、ためらっています。

利用者負担が増えるのは事実なので、丁寧な説明は欠かせません。そのうえで、研修や指示・報告の体制が整っていることは、利用者にとっても安心につながります。「何のための加算か」を説明できる状態にしておくことが大切です。

外注すると、事業所にノウハウが残らないのでは?

任せ方次第です。手順や記録が事業所の手元に残る形で依頼すれば、担当者が替わっても運用は続けられます。

まとめ

特定事業所加算は、売上を上げるための手段である前に、職員を育て、サービスの質を上げるための仕組みです。要件を書類の上だけで満たすのではなく、面談や研修、指示と報告を本当に実施する。そのための時間をどうつくるかを考えることが、加算を算定する本当の意味だと私は考えています。

参考資料

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