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人材育成2026.10.27約8分で読めます

サービス提供責任者は、本来の仕事ができていますか?

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介護加算研究所® 編集部(監修:佐々木 実)株式会社KKLABO 代表取締役/全国1,000事業所以上を支援

サービス提供責任者の仕事は「サービスに行くこと」だと思っていませんか。それは半分正解で、半分は間違いです。法令に書かれたサ責の役割から、離職が続く事業所に共通する原因と、経営者が見直すべき組織のあり方を考えます。

サ責の仕事は「サービスに行くこと」?

サービス提供責任者の仕事は、サービスに行くことだと思っていませんか。

実は、それは半分正解で、半分は間違いです。

「え、1日のほとんどはサービスに出ていますけど」。これを読んでいるサービス提供責任者の方は、そう思ったかもしれません。間違いではありません。ですが、本来の役割からは少しずれています。

そしてこれは、サ責本人だけでなく、経営者も勘違いしていることが非常に多いポイントです。

法令に書かれている、サ責の本来の役割

サービス提供責任者の仕事は、国の運営基準(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第28条第3項)に、はっきり書かれています。訪問介護計画の作成に加えて、次の業務を行うこととされています。

  1. 利用の申込みに係る調整
  2. 利用者の状態の変化や、サービスに関する意向の定期的な把握
  3. ケアマネジャー等への、利用者の服薬状況や心身の状態などの情報提供
  4. サービス担当者会議への出席などによる、ケアマネジャー等との連携
  5. ヘルパーへの具体的な援助目標・援助内容の指示と、利用者の状況の伝達
  6. ヘルパーの業務の実施状況の把握
  7. ヘルパーの能力や希望を踏まえた業務管理
  8. ヘルパーに対する研修、技術指導等
  9. その他、サービス内容の管理について必要な業務

整理すると、サ責の役割は大きく3つです。

  • ヘルパーの教育と管理
  • 利用者の管理と調整
  • ケアマネジャーとの調整

この中に「自分がサービスに入ること」は書かれていません。サ責の本来の仕事は、マネジメントなのです。

ポイントサ責がヘルパーとしてサービスに入ること自体は、禁止されているわけではありません。ただ、それは本来の役割ではなく、あくまで「ほかの業務に支障がない範囲で」行うものです。

立ち上げ期のプレイングマネジャーは当たり前。でも

もちろん、事業所を立ち上げたばかりの頃は、サ責がプレイングマネジャーとしてケアに入りながら、サ責の仕事もこなす。これは当たり前にあることだと思います。人も利用者も少ないうちは、そうしなければ回りません。

しかし、それが2年、3年とずっと続いているのであれば、事業所のあり方として、経営として間違っています。

サ責がヘルパーをきちんとマネジメントできれば、サ責自身がサービスに入る必要はありません。もちろんそのためには、サ責が売上や人件費を理解し、「どの利用者を、どのヘルパーに、どれだけ担当してもらえば事業所が回るか」を計算できることが前提です。そこまで含めて、サ責の仕事です。

サ責がマネジメントしなかったら、誰がヘルパーを見るのか

考えてみてください。サ責が毎日サービスに出ずっぱりで、ヘルパーをマネジメントしなかったら、誰がヘルパーを見るのでしょうか。

  • 困ったときに、相談できる相手がいない
  • 自分のケアが合っているのか、誰も教えてくれない
  • この先どう成長すればいいのか、見えない

訪問介護は、一人で利用者の家に行く仕事です。誰にも見てもらえない状態が続けば、不安が積み重なり、やがて辞めていきます。

この業界で離職が多い理由が、ここに詰まっています。これが本質です。

もちろん給与の問題もあります。ですが、そもそも人が辞めなければ、売上は減らず、収益は安定します。採用にかかる費用や手間も減ります。サ責がヘルパーと向き合う時間は、コストではなく、事業所の収益を守る仕事です。

なぜ「サ責はサービスに出るもの」になってしまうのか

介護事業の経営者には、もともと介護の現場で働いていた方が多くいます。その経験から、「サービス提供責任者はサービスに出るものだ」という認識が定着してしまっているのだと思います。

ですが、組織として考えたとき、役職や立場が上がるほど、現場の作業から離れて、その立場にしかできない仕事をするのが本来の姿です。

パン工場の社長は、パンを焼いているか

たとえば、パン工場を思い浮かべてください。工場の社長が、自分でパンを製造していると思いますか。していませんよね。

社長がするのは、どんなパンを作るかを考えること。工場長は、決まったパンを品質よく、効率よく作れるように現場を管理すること。製造スタッフは、パンを作ること。それぞれの役職によって、役割が違うのです。

訪問介護に置き換えると、こうなります。

  • 経営者:どんな事業所にするかを決め、人とお金の配分を考える
  • サービス提供責任者:ヘルパーを育て、利用者とケアマネジャーとの調整を行い、サービスの質を管理する
  • ヘルパー:利用者にサービスを提供する

サ責がずっとヘルパーの仕事をしているのは、工場長がずっとパンを焼いているのと同じです。その間、現場を管理する人は誰もいません。

経営者が、今日から見直せること

1. サ責の1日を書き出してみる

サ責が1週間で、サービスにどれだけの時間を使い、ヘルパーとの面談や指導、ケアマネジャーとの調整にどれだけの時間を使っているか。まずは書き出してみてください。多くの事業所で、マネジメントの時間がほとんど残っていないことに気づくはずです。

2. サ責が担当するサービスを、少しずつヘルパーに移す

いきなりゼロにする必要はありません。サ責が担当している訪問のうち、ほかのヘルパーに任せられるものから移していき、空いた時間をヘルパーの同行や面談にあてます。

3. サ責でなくてもできる事務を、手放す

書類の整理や記録の点検、スケジュールの管理など、サ責でなくてもできる事務は少なくありません。事務職員に任せる、外部に委託するなどして、サ責がマネジメントに使える時間をつくります。

ポイントサ責の役割を見直すことは、特定事業所加算の要件(個別研修計画、会議、指示と報告)をきちんと回すことにもつながります。加算の要件は、サ責がマネジメントに時間を使えて初めて、中身のあるものになります。

よくある質問

サ責がサービスに入らないと、売上が下がりませんか?

短期的には、サ責が担当していた訪問の分をほかのヘルパーで埋める必要があります。ですが、サ責がヘルパーを育て、定着させることで、事業所全体で提供できるサービス量は増えていきます。サ責一人が訪問できる時間には限りがありますが、ヘルパーが育てば、その上限は広がります。

小規模で、サ責がサービスに入らないと回りません。

立ち上げ期や小規模な事業所では、サ責が訪問に入ることは自然なことです。大切なのは、それを当たり前にせず、「いつまでに、どれだけマネジメントの時間をつくるか」を決めておくことです。

サ責にマネジメントを任せたいのですが、本人が経験不足です。

マネジメントも、研修で身につけるものです。サ責自身にも個別の研修計画を立て、管理者や経営者が面談しながら育てていくことが大切です。

まとめ

サービス提供責任者の本来の仕事は、ヘルパーを育て、管理し、利用者とケアマネジャーとの調整を行うことです。サ責がサービスに出ずっぱりの状態が何年も続いているなら、それはサ責の問題ではなく、経営の問題です。サ責が本来の仕事に時間を使える組織をつくることが、離職を減らし、収益を安定させるいちばんの近道です。

参考資料

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